はじめにパワポ資料を作るときに、AIを活用する人が増えています。

「内容は間違っていないはずなのに、なぜか伝わらない」
パワーポイントで資料を作っていると、このような経験はないでしょうか。
伝わらない資料の原因は、デザインセンスがないからとは限りません。
多くの場合、情報の載せ方やタイトルの付け方、図や色の使い方に問題があります。
特に上司への報告資料や顧客への提案資料では、内容をすべて読んでもらえるとは限りません。
一目見たときに、

  • 何が起きているのか
  • 何が重要なのか
  • 何を判断してほしいのか

が分からなければ、どれだけ情報が正しくても、伝わる資料にはなりません。
この記事では、パワポ資料でよくある5つのNG例と、その改善方法を紹介します。

NG例1|1枚に情報を詰め込みすぎる

AIを資料作成に使うときに大切なのは、役割を間違えないことです。

売上実績、市場環境、顧客アンケート、今後の施策。
関連する情報をすべて1枚に載せれば、詳しく説明できる資料になると思うかもしれません。
しかし、情報を詰め込むほど、見る側は「どこを見ればよいのか」が分からなくなります。

なぜ伝わらないのか

資料を作る側は、内容を理解しています。
そのため、小さなグラフや文章が複数並んでいても、それぞれの意味を把握できます。
一方、初めて資料を見る人は、ページ内の情報を一つずつ読み解かなければなりません。
情報が多いページでは、次のような問題が起きます。

  • 最も重要な情報が埋もれる
  • 文字やグラフが小さくなる
  • 視線の移動が増える
  • 説明を聞かないと理解できない
  • 会議後に資料だけ見ても内容が伝わらない

情報量が多いことと、説明が分かりやすいことは別です。

改善ポイント|1ページ1メッセージに絞る

1枚のスライドで伝える内容は、原則として1つに絞ります。
例えば、売上実績を伝えるページであれば、市場環境や今後の施策まで同じページに入れる必要はありません。
まず、ページを見た人に何を理解してほしいのかを、一文にします。

例:

法人向け商品の売上が、前年同期比120%に成長した。

この一文を伝えるために必要なグラフ、数字、補足説明だけを残します。
市場環境や今後の施策は、別ページに分けた方が理解しやすくなります。

資料を作るときの判断基準

次の質問に答えられない場合は、情報を載せすぎている可能性があります。

このページで、相手に一番伝えたいことは何か。

答えが2つ以上ある場合は、ページを分けることを検討しましょう。

情報量ではなく、伝えたい結論を中心にページを作ることが重要です。

NG例2|タイトルが項目名になっている

資料のタイトルに、次のような言葉を使っていないでしょうか。

  • 売上実績
  • 市場環境
  • アンケート結果
  • 今後の施策
  • 導入効果

これらはタイトルではなく、ページに載っている内容の分類です。

「売上実績」と書かれていても、売上が増えたのか、減ったのか、目標を達成したのかは分かりません。

なぜ伝わらないのか

項目名だけのタイトルでは、見る側がグラフや本文を読み、自分で結論を見つける必要があります。

しかし、会議では資料をじっくり読んでもらえるとは限りません。

説明中に別のページへ進んだり、途中から参加した人が資料だけを見たりすることもあります。

タイトルだけでページの要点が分からない資料は、説明者がいなければ成立しません。

改善ポイント|タイトルで結論を伝える

タイトルを項目名ではなく、ページの結論に変えます。

NGタイトル改善後
売上実績法人向け売上が前年同期比120%に成長
市場環境省人化ニーズの高まりにより市場が拡大
アンケート結果導入担当者の7割が初期設定に負担を感じている
導入効果作業時間を月20時間削減
今後の施策初期設定の簡略化を最優先で進める

結論をタイトルにすると、グラフや文章は、その結論を裏付ける役割になります。

タイトルを考えるコツ

グラフを見て説明するときに、最初に口頭で伝える言葉をタイトルにします。

例えば、

「法人向けの売上が前年より20%伸びています」

と説明するなら、そのままタイトルにします。

良いタイトルは、ページの中身を説明するのではなく、ページの結論を伝えます。


NG例3|デザインから作り始める

PowerPointを開いた直後に、次の作業から始めていないでしょうか。

  • テンプレートを選ぶ
  • 色を決める
  • 図形を配置する
  • アイコンを探す
  • レイアウトを調整する

見た目から作り始めると、ページ単体では整っていても、資料全体の話がつながらなくなることがあります。

なぜ伝わらないのか

デザイン作業は、進んでいる実感を得やすい作業です。

図形を並べたり、色を整えたりすると、資料が完成に近づいているように感じます。

しかし、資料の構成が決まっていない状態で装飾を進めると、後から内容を追加するたびにレイアウトを直すことになります。

その結果、

  • ページごとに内容の粒度が違う
  • 同じ話が複数ページに重複する
  • 結論が資料の後半まで出てこない
  • 見た目は整っているが、話の流れが分からない

といった資料になりやすくなります。

改善ポイント|最初にスライドタイトルだけを並べる

PowerPointで作り込みを始める前に、スライドタイトルだけを並べます。

提案資料であれば、例えば次のように構成します。

  1. 現在起きている課題
  2. 課題が発生している原因
  3. 解決の方向性
  4. 提案する施策
  5. 期待できる効果
  6. 導入までの進め方
  7. 次のアクション

タイトルを順番に読んだだけで、話の流れが理解できる状態を目指します。

構成を確認するポイント

スライドタイトルだけを並べた状態で、次を確認します。

  • 結論が最初に示されているか
  • 課題と施策がつながっているか
  • 根拠のない主張になっていないか
  • 同じ内容が重複していないか
  • 相手に求める判断が明確か

構成に問題がなければ、その後にグラフや文章、図を入れていきます。

資料はデザインする前に、話の順番を設計することが重要です。

NG例4|図やアイコンを飾りとして使う

人物、電球、歯車、握手、パソコン、地球、矢印。

資料にアイコンを入れると、文字だけのページより分かりやすく見えることがあります。

しかし、内容との関係が曖昧なアイコンは、情報を分かりやすくするのではなく、単なる装飾になります。

なぜ伝わらないのか

アイコンが多い資料は、一見すると整理されているように見えます。

しかし、アイコンと文章の関係が明確でなければ、見る側は次のように感じます。

  • どのアイコンが重要なのか分からない
  • 視線が装飾に引っ張られる
  • 情報同士の関係が見えない
  • それらしく見えるが、内容が頭に残らない

特に「当社の強み」や「今後の取り組み」のページでは、意味の薄いアイコンが並びがちです。

改善ポイント|図で情報の関係性を伝える

図を使う目的は、文章だけでは伝わりにくい関係を見せることです。

例えば、次のような内容は図に向いています。

  • 課題と原因の関係
  • 原因と対策の対応
  • 業務の流れ
  • 関係者の役割分担
  • BeforeとAfter
  • 導入前後の変化
  • 時系列
  • 選択肢の比較

「課題」「原因」「対策」を説明するなら、それぞれを独立した枠に入れるだけでなく、矢印でつなぎます。

例:

売上が伸びない

新規顧客が減少している

新規顧客向けの施策を強化する

このように関係性を見せれば、見る側は内容を順番に理解できます。

アイコンを使う判断基準

アイコンを削除しても意味が変わらない場合、そのアイコンは装飾である可能性があります。

図やアイコンは、空いている場所を埋めるためではなく、理解を助けるために使いましょう。

図は情報を飾るものではなく、情報同士の関係を見せるものです。

NG例5|色を使いすぎる

タイトルは青、重要な数字は赤、補足は緑、背景は黄色、グラフは5色。

色を使うほど、資料が華やかで分かりやすくなると考える人もいます。

しかし、色が多すぎると、何が重要なのか分からなくなります。

なぜ伝わらないのか

色には、視線を集める力があります。

そのため、複数の色を同じ強さで使うと、すべての情報が目立とうとします。

例えば、5項目の棒グラフをすべて違う色にすると、項目の比較よりも色の違いに目が向きます。

また、赤やオレンジ、緑などに明確な意味が設定されていない場合、見る側は色の意味を理解できません。

改善ポイント|色の役割を絞る

資料で使う色は、基本的に次の3種類で十分です。

  • ベースカラー
  • アクセントカラー
  • グレー

例えば、企業カラーが青であれば、見出しや重要な数字に青を使い、それ以外の情報は黒やグレーでまとめます。

グラフでは、注目してほしい項目だけにアクセントカラーを使います。

前年までのデータをグレー、今年のデータだけを青にすれば、見る側は自然に今年の数字へ注目します。

色を使うときのルール

色を付ける前に、次の質問をします。

なぜ、ここだけ色を変えるのか。

「重要だから」「比較対象だから」「注意が必要だから」など、理由を説明できる箇所だけに色を使います。

理由が説明できない色は、削除しても問題ありません。

色を減らすことは地味にすることではなく、重要な情報を目立たせることです。

伝わる資料は、見た目よりも情報設計で決まる

伝わらない資料は、デザインが下手だから生まれるとは限りません。

多くの場合は、

  • 何を伝えるか
  • どの順番で伝えるか
  • 何を強調するか
  • 何を削るか

が整理されていないことが原因です。

見た目を整える前に、資料の目的と結論を決めることが重要です。

今回紹介したNG例をまとめると、次のようになります。

NG例改善ポイント
1枚に情報を詰め込みすぎる1ページ1メッセージに絞る
タイトルが項目名になっているタイトルで結論を伝える
デザインから作り始める構成を決めてから作る
図やアイコンを飾りとして使う図で情報の関係性を伝える
色を使いすぎる色の役割を絞る

資料を提出する前のチェックリスト

最後に、上司や顧客へ資料を提出する前に、次の5項目を確認してみてください。

  • 1ページで伝える内容が1つに絞られているか
  • タイトルだけでページの結論が分かるか
  • スライドタイトルを読むだけで話の流れが分かるか
  • 図やアイコンが情報の理解に役立っているか
  • 色を使う理由を説明できるか

この5項目を確認するだけでも、資料の伝わり方は大きく変わります。

パワポ資料で重要なのは、情報をたくさん載せることではありません。

相手が短時間で内容を理解し、判断できる状態を作ることです。

資料を作るときは、「何を載せるか」だけではなく、「何を削れば結論が伝わるか」まで考えてみてください。