色使いで変わる「伝わる度」

資料の色は3色まで?デザイナーが実務で意識している「伝わる色」の使い方
PowerPointで資料を作っていて、
「色を使っているのに、なんとなく見づらい」
「重要なところを目立たせたはずなのに、逆にゴチャゴチャした」
と感じたことはないでしょうか。
私はこれまで、デザイン会社での制作やBtoBマーケティングの仕事を通じて、営業資料や提案資料、販促物など、さまざまなビジネス向けの制作物を作ってきました。
その中で感じているのが、
資料は、色を増やすほど分かりやすくなるわけではない
ということです。
むしろ、色を使いすぎることで「何を見ればいいのか分からない資料」になってしまうことがあります。
私自身、デザイナーになりたての頃は、
「ここも目立たせたい」
「ここも他と区別したい」
と考えて、色を足してしまうことがありました。
でも、青、赤、緑、オレンジ……と色を増やしていくと、結果として全部が強く見えてしまいます。
BtoBの資料を作るようになってからは、特に「きれいに見せること」以上に、
どこを見てほしいのかを明確にすること
が重要だと考えるようになりました。
この記事では、一般的な配色ルールだけではなく、私が実際に仕事で資料を作るときに意識している「色の使い方」を紹介します。
色は「飾り」ではなく、視線を誘導するために使う
資料の色を考えるとき、私が最初に考えるのは、
「このページで、一番最初にどこを見てほしいか?」
です。
資料には、読んでほしい順番があります。
例えば営業資料なら、
課題 → 解決策 → メリット
というように、伝えたい流れがあります。
その中で全部を同じ色、同じ強さで見せてしまうと、読み手はどこから見ればいいのか判断しなければなりません。
そこで色を使います。
重要な数字だけ色を変える。
結論だけアクセントカラーを使う。
それ以外は黒やグレーに抑える。
これだけでも、資料の伝わり方はかなり変わります。
実際に仕事で資料を作っていても、文章やレイアウトを大きく変更せず、色の強弱を整理するだけで一気に読みやすくなることがあります。
私にとって色は、単に資料をきれいにする装飾ではありません。
情報の優先順位を伝え、読み手の視線をコントロールするためのもの
だと考えています。
「資料の色は3色まで」は本当?
資料デザインについて調べると、よく出てくるのが「3色ルール」です。
一般的には、
- ベースカラー
- メインカラー
- アクセントカラー
の3色を中心に構成すると、資料全体がまとまりやすくなるという考え方です。
これは、デザインに慣れていない人にはかなり使いやすいルールだと思います。
ただ、私は実務で**「絶対に3色しか使わない」**とは考えていません。
例えばメインカラーが青でも、
濃い青、
通常の青、
薄い青、
さらに薄い背景用の青、
というように濃淡を使い分けることがあります。
これをすべて別の色として数えれば、3色には収まりません。
そこで私が意識しているのは、
「3色」ではなく「3つの役割」にすること。
色数を数えるのではなく、
ベース・メイン・アクセント
という役割を増やしすぎないようにしています。
同じメインカラーの濃淡を使う分には、資料全体の統一感はそれほど崩れません。
逆に、
「重要だから赤」
「この図は青」
「ここは目立たせたいから緑」
「なんとなく寂しいからオレンジ」
と役割の違う色を次々追加すると、資料は一気にまとまりにくくなります。
重要なのは色数より、色に意味を持たせること。
これが実務では一番使いやすい考え方だと思っています。
仕事の資料では、まずブランドカラーを見る
仕事で資料を作るとき、私はいきなり好きな色を選ぶことはほとんどありません。
最初に確認するのは、
企業や商品のブランドカラーです。
コーポレートカラーやロゴ、商品パッケージ、ブランドガイドラインなどを確認して、まず資料の軸になる色を決めます。
ただし、ここで気をつけたいことがあります。
ブランドカラーを使うことと、ブランドカラーだらけにすることは別です。
例えば、企業カラーが鮮やかな青だったとします。
「企業カラーだから」と、タイトル、見出し、背景、図、囲み、アイコン……すべてを青にすると、逆にブランドカラーの印象が弱くなってしまいます。
強い色は、使う面積を減らした方が印象に残ることがあります。
そのため私は、
ブランドカラーを見出しや重要な部分に使い、
背景では薄い濃度にし、
通常の文字や補助情報には黒やグレーを使う、
というように整理しています。
ブランドカラーそのものを変えるのではなく、濃淡や使う面積を調整するイメージです。
分かりにくい資料ほど「色を足す」のではなく「減らす」
資料を作っていると、
「ここが分かりにくいな」
と思ったときに、色を追加したくなることがあります。
私自身も以前はそうでした。
ここを赤くする。
別の情報を青くする。
カテゴリーごとに色を変える。
確かに区別はできます。
でも、それを繰り返していると、気づいたときには資料全体がカラフルになっています。
そして、カラフルになった資料を見て感じるのが、
「結局、どれが一番重要なんだろう?」
ということです。
最近は逆に、資料が分かりにくいと感じたら、
一度、色を減らします。
黒・グレー+メインカラー。
まずは、このくらいまで戻します。
その状態で、
「このページで絶対に見てほしいものは何か?」
を考えます。
そして必要であれば、そこだけアクセントカラーを追加します。
色を足して整理するのではなく、色を減らして優先順位を作る。
この方が、資料は整理しやすいと感じています。
実務でよく見る「もったいない色使い」
仕事でさまざまな資料を見ていると、「少し直すだけでもっと伝わるのに」と感じる色使いがあります。
1.強調したいところが全部赤い
よくあるのが、重要な部分をすべて赤文字にする資料です。
赤は確かに目立ちます。
ただ、
重要な数字も赤。
注意事項も赤。
結論も赤。
補足も赤。
となると、赤自体が特別ではなくなります。
強調色は、使う場所を絞るから強調になる。
私は、本当に相手に見てほしい場所だけに使うようにしています。
2.グラフが必要以上にカラフル
PowerPointやExcelでグラフを作ると、項目ごとに違う色が設定されることがあります。
もちろん、すべての項目を区別する必要がある場合もあります。
ただ、
「自社が他社と比べてどうなのか」
を伝えるグラフなら、
自社だけブランドカラー、その他はグレー
でも十分です。
むしろ、その方が一瞬で自社に視線が向きます。
グラフでも大切なのは、
「何色使うか」ではなく「何を読み取ってほしいか」
だと思っています。
3.ページごとに色の意味が変わる
もう一つ気になるのが、ページごとに色の意味が変わる資料です。
あるページでは、
赤=重要。
次のページでは、
青=重要。
さらに次のページでは、
オレンジ=重要。
こうなると、資料を読む側は無意識に色の意味を読み直さなければなりません。
1ページだけを見るのではなく、
資料全体で色の意味を統一する。
これだけでも、かなり読みやすくなります。
色彩心理は参考にする。でも、それだけで色は決めない
「青は信頼感」
「赤は情熱や注意」
「緑は安心や自然」
など、色にはそれぞれイメージがあります。
もちろん私も、こうした色の印象は参考にします。
ただ、
「信頼感を出したいから青にしよう」
だけで色を決めることはほとんどありません。
仕事の資料であれば、企業や商品のブランドイメージがあります。
資料そのものにも、
提案するのか、
説明するのか、
注意を促すのか、
という目的があります。
そのため私は、
ブランドや資料の目的を先に考え、色彩心理は補助的に使う
くらいがちょうどいいと思っています。
「自分の画面で見える」だけではなく、使われる環境まで考える
資料の色を考えるとき、もう一つ意識したいのが可読性です。
パソコンではきれいに見えていても、会議室のモニターやプロジェクターに映すと、思っていたより文字が見づらくなることがあります。
特に、
薄いグレーの文字、
淡い背景の上に白文字、
写真の上に直接置いた文字、
などは注意が必要です。
プレゼンで使う資料なら、可能であれば実際に使用するモニターやスクリーンでも確認します。
デザインとしてきれいに見えることよりも、
相手が読めることの方が圧倒的に重要です。
Before/Afterで考えると色の役割が分かりやすい
例えば、5社を比較する棒グラフがあるとします。
Before
5社すべてを、
青・赤・緑・黄・紫
のように違う色で表示する。
確かに5社を区別できますが、視線は5社すべてに分散します。
After
自社だけブランドカラー。
その他4社はグレー。
こうすると、
「自社が他社と比べてどの位置にいるのか」
が一瞬で分かります。
色を変えただけで、グラフの情報自体は変わっていません。
変わったのは、
何を見てほしいのか
です。
資料の色使いを考えるときは、この考え方がとても重要だと思っています。
まとめ|色を足す前に「何を見てほしいか」を考える
資料の色使いで迷ったら、配色サイトを開く前に、一度考えてみてください。
「このページで、一番見てほしいものは何だろう?」
そこが決まれば、
見せたいところを強くする。
それ以外は少し弱くする。
基本的にはそれだけです。
私自身、デザイナーになりたての頃は、色を増やすことで資料を分かりやすくしようとしていました。
でも、実際にさまざまな資料を作ってきて感じるのは、
色を増やすことより、色を使わない場所を決める方が大切
ということです。
資料がなんとなくゴチャゴチャしていると感じたら、まずは一度、
黒・グレー+メインカラー
くらいまで色を減らしてみてください。
そして、本当に見てほしいところだけにアクセントカラーを使う。
「おしゃれな配色」を探す前に、
色の役割を整理する。
それだけでも、資料の「伝わる度」はかなり変わると思います。

